5 February 2009

人情の韓国アイスクライミング1

29日(木) 晴れ 会社では、今年の業績悪化対応策のひとつとして残業調整を奨励している。残業した分を早退などで相殺するものだ。この制度は悪くないと思う。残業するときはして、早く帰れるときは帰ることができ、相互にとって利点があると思うからだ。今日は14:45分から早退帰宅し、装備を持って18:30のリムジンバスで成田へ。韓国へ出発する。

装備は現地調達予定なので、身軽、チェックインはスムーズに済み搭乗口へ早々に向かう。免税店などふらふら見て歩いていると、シャワールームを発見。30分500円。個室は狭いが、ビジネスホテルのシャワールームのようで、きれいなタオルもありリーゾナブルだ。よい気分転換になった。今後も、ぜひ利用したい施設である。
アシアナ航空はスチュワーデスさんの感じがよい。見渡したところ満席。老若問わず女性同士のグループ、カップル、あやしい成金風の人もいて韓国の旅にはいろいろな人がいそうである。私の目的はアイスクライミングと装備入手、お買い物というひとくくりでくくれば大勢多数だろうか。

仁川空港には23時過ぎ着。ターミナルロビーで早速タクシーの客引きに声をかけられる。こういうのにはひっかかっちゃいけないというのが旅の鉄則だが、風貌(調子は良さそうだが悪そうじゃない)、車(タクシーの表示がありメーターがついている)をみて、自分の判断をたよりに利用することに決める。韓国に到着するまでよく考えていなかったのだが、23時以降はバスも地下鉄も止まるので、町へ出る手段はタクシーしかないのだ。運ちゃんは一生懸命観光地を説明しながら運転してくれ(サッカー場やオリンピック競技場)、音楽もいろいろと聞かせてくれ(ただし演歌)、地図までくれたりして気を使ってくれている。約1時間乗った後で無事宿に到着。深夜割り増しがついて、9万ウォンであった(端数も値切ったら応じてくれたので悪い人じゃなかったんだろう)。安い旅をしていても、こんなところで出費がかさむので、今後は到着時刻も考慮のうえ便を選んだ方がよい。宿の人を遅くに起こしてしまい恐縮。昔ながらの韓屋のオンドル部屋に感動。さっさと寝ることにする。
30日(金) 晴れ 宿での韓式スンデゥプの朝食をいただき、宿のゴッドマザーにもご挨拶し、氷登りに来たと説明すると「そんな危ないこと、やめなさい」と何度も言われる。私が曲げないので、「そんなにやりたいのなら携帯電話の番号は置いていきなさい」といわれてしまう。世話好きの女将さんである。 とっても楽しみにしていたO2WORLDへ。宿近くの恵化駅から地下鉄で7つ目。地図をたよりに歩くが、道がわからなくなり、タクシーにたよることに。O2WORLDはインスボンなどの入山口があるところに位置する。インターネットでこの施設を探し当てて、感激してぜひ見てみたいと思ってきたのだ。年間通じて人工の氷が登れる施設って‥。
5階建のビルは、インターネットで見るよりもちょっとしょぼかったが、ご愛嬌か。期待していたカフェも田舎の食堂って感じで‥。ただしクライミング施設はジムとして秀逸。地下1階から2階にかけてアイスクライミング壁があり、そのとなりにはやはり2階分をぶち抜いてフリークライミング壁がある。利用者のロッカーやシャワーを完備して、贅沢な作りだ。これはすごい。思いのほか韓国は英語が通じないので、身振り手振りでアイスクライミングをしたい、と申し出ると、いろいろな人が助けてくれて、そうこうしているうちに社長がじきじきに出てきてくれた。
身振り手振りで話を聞いてみると、今日は映画の撮影があるため、アイスクライミング壁は登れない、ついては明日ビレーをしてあげるのでもう一度くるようにとのことであった。私にとっては、十分なオファーなので、感謝の意を示し、明日の約束をして名刺をいただきショッピングモードへ切り替える。
O2ワールドの近辺には登山道具の店が軒を並べる。おしゃれな店作りだが、ウエアの店が多くそして思ったよりも値段は高めである。日本の7から8割くらいだろうか。アークテリックスの女性用のかっこいいウエアもいっぱいあり目移りするが、がまん。目的はアイスクライミングのギアなので、最後のショップでギアを置いているところを紹介してくれとお願いすると、地図で場所を教えてくれた。バスに乗っていけば行けるといわれる。
バス乗り場の横では、ヤドリギを煎じ茶として売っている露天を発見して、味見をさせてもらう。抵抗力を高め難病に効くといっている。 深みと甘みがあってなかなかうまい。
バス乗り場で、地図を見せてここに行きたいと説明すると、運転手さんが親切にも出てきてくれて、とにかく自分のバスに乗っていけ、途中で乗り換えを教えてあげると片言の日本語で教えてくれた。なんと親切なんだろうか。
バスを乗って15分くらいすると、「ここで下りて次は何番106番に乗れ」と運転手さんからのメモ付の指示。「ありがとう!」と乗り継ぎ、次のバスでさらに15分くらい乗りやっと目的地である鐘路五街へ到着。
ずううっと昔の記憶をたよりに登山道具店が並ぶエリアを探してみるが、見つからず。町のど真ん中で歩くビジネスマンに聞いても埒があきそうにない‥。途方に暮れつつ、とりあえず昼ごはんでも食べることにして、地元の人でにぎわっている定食屋へ。

外まで人が並んでいるこの店は、地元の人が評価する美味しい店なんだろう。ふとみたら、レジの奥の壁にアイスクライミングの写真がぺたぺたと貼られている!!よーく見ると、中で動き回っている女将さんではないか。なんという偶然。
女将さんは片言の日本語を話し、私は朝食べて二度目のスンドゥプ海鮮版をお願いする。1万ウォンで、小鉢、ご飯がつく。うまい。汗をかきながら美味しくいただいて、お金を払うときにおそるおそる「氷を登られるのですか」と聞いてみた。「実は日本から装備を買いに来たのですがお店のある場所を教えていただけませんか」。「ひとりで?日本から? 私がいつも値引きしてもらっているお店があるわよ。昼も終わるから私が連れてって紹介してあげるわよ」韓国の女性は面倒見がいいのかもしれない。肝っ玉が大きいというか。かくして、女将に連れられて、登山道具屋が並ぶ通りへ足を運んだのであった。
店のマネジャーはやはり英語はあまりしゃべれない。連れて行ってもらわなかったら、ここでも苦労しただろう。通訳までしていただきつつ、買おうと思っていたノミックを手にしてから、クォーク、マトリクス、コブラなどなどを手にしているうちに、4時間くらい女将をつき合わせてしまう。いろいろ考えすぎて、結局は後悔しないほど安価で、アルパインにも一応使えて、高所で持ち運ぶにも軽い、という理由でグリベルのマトリクスに決めた。他にスポルティバのイヴォ、友達からたのまれたアックスを購入する。カードでというと現金しか受け付けないというので、これまた、銀行へ駆け込みカードで引き出しをしようとするも、私のカードを受け付けてくれるところはなく、何軒かまわった挙句、ヴィザのキャッシュサービスでなんとか高額の現金をゲットしてげっそり。それ以上に、付き合ってくれた女将さんに申し訳なかった。そうこうしていると「私は明日も明後日もアイスクライミングに行くわよ、一緒に行きましょう」との思ってもいないオファーが‥。「O2ワールドで約束してるので」というと「外の氷の方が絶対にいいわよ!O2ワールドの社長は友達だからこれから電話で断ってあげる」ということで、外の氷に一緒に連れて行ってもらうことに相成ったのであった。なんという展開だろうか‥。翌朝8時集合の約束して別れる。
出発前からメールで連絡を取っていたクライマーと現地で連絡が取れ、夕食をとることに。3年前に中国のコスクラックピークを登った仲間。宿まで向かえに来てくれ、夕食。何が食べたいかというので、韓国風の普通の定食、と答える。彼は韓国ヒマラヤ協会の会員で、すごいデータマン。ヒマラヤの登攀についてありとあらゆる登攀、人、年代をすらすら言えるのである。英語も堪能なので会話も成り立つのだ。彼がインタビューしたという、ロシアやヨーロッパのクライマーの話がとにかく面白すぎて、今度本にまとめてよ、とお願いしたほど。クライマーというより学者といった方が近いような風貌である。クライミングのみならず、歴史や芸術にも造詣が深く、「僕は秀吉よりも信長が好みだね」などと言うのでこちらがびびってしまう。世界レベルの博識に出会うと、いつも襟を正すのだが‥。そうしているうちに、コスクラックで同じくご一緒させていただいたヒマラヤ協会会長のオウさんも来ていただくことになり‥。次の店をインド料理屋に移して合流。名門東国大学山岳部出身であり、ヒマラヤ登山に先鞭をきったおうさんは、60過ぎてなお活発に海外登山や海外での冒険を定期的に行っていて話は尽きず大いに盛り上がる。旧交を深めた贅沢で幸せな夜であった。

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