3 March 2009

アイスキャンディーカップ

27日(金)雨のち曇り 1月からはじめたアイスゲレンデでのクライミングにひとつ区切りをつけたいなと思い立ち、前日(26日)朝にエントリーを決めて申し込む。コンペがどういう形で行われているのか知りたかったのと、自分の現状がわかればより具体的に今後の計画が立てやすくなるかも‥とこれは後々軽すぎる理由であったことを思い知らされる。先週金券ショップで購入したあずさ回数券が1枚余っているので、21時のあずさに乗り一路茅野へ。金曜夜のあずさは勤め人風の人がほとんど。隣に座って大月で下車したスーツ姿の若い男性はなぜか「岳」を読んでいて、山の人と気づかれたらどうしよう、と妙に緊張する。途中Jちゃんにメールを送信すると、「参戦大歓迎」と速攻の返事で勇気付けてくれ、やさしさが身に染みる。夜は、奮発して茅野ステーションホテルに投宿。インターネットの割引券を利用すると5000円。本来なら朝食付だが、朝一のバスに乗るため、やむなく断念。

28日(土)曇りのち晴れ 朝一番の6時15分のバスで美濃戸口へ7時前に到着。7時に美濃戸からコンペ参戦者用の車が出ると教えてもらっていたが、バス亭のある美濃戸山荘か途中の赤岳山荘か不明確なまま到着してみると、赤岳山荘からであることが判明。内心歩きたいと思っていたので、受付時間の9時半に間に合わせるつもりでスタート。途中、赤岳山荘に到着すると、中から赤岳鉱泉の社長が。見学に来たのか!との質問に「昨日突然エントリーして参戦することにしました」というと、しょうがねえなあと呆れ顔で車で送ってくださることに。忙しい中にもかかわらず、いつもとかわらない暖かさ。8時半赤岳鉱泉着。いつもおなじみの方々が、既に小屋でくつろいでいる様子。Aさんたちも「来ると思ったわよおっ」と笑いにしてくださって、なんだか気持ちが和む。去年から参戦されているYさんKさんも初参戦の私に色々とコンペの手順など丁寧に教えてくださり、感謝。アイスで初めてお会いするYさんファミリーが小屋に到着。まわりがぱーっと明るくなる。5歳のCちゃんも既に輝きが違うような‥。

エントリーフィーは3000円、ありえない値段である。柳澤社長の最後の説明で知ったのだが、(株)ゴールドウィンと(株)大塚製薬の2大スポンサーは資金も援助しているそうだ。物品の充実度も高く、参加者全員にキャップやバンダナ、ソイジョイやアミノバリュー、BCAA顆粒なども配布あり。ルート設定された氷を登れておまけに色々もらえて、スライドショーも見られて、参加しただけで投資の何倍ものリターンがあるすごい内容である。ノースのウエアを今回は着てこなかったのでせめてはいただいた帽子をかぶろう、と早速利用させていただく。かなり快適なかぶり心地である。メットとの相性も最高。

ビギナーは10人の参加者(全参加者は30人)、何度かご一緒させていただいた方が半分。ビギナークラス用に3本のルートが用意されており、それぞれ制限時間5分のうちに完登するとポイントがもらえるというもの。それぞれのルートに100点の枠があり、完登した人数でそのポイントを分け合うのだそうだ。11時から15時までの間であれば、何度トライしてもOK。人が登っているところを見てもいいし、アドバイスをもらうことも可能。ただし、トライ数が多いとマイナスになるので、最高得点を狙うのであれば一撃で登らねばならない。

私は、3本のルートの中で取り付きやすく見える一番右のルートから始めることにする。他の人たちもみな同様の考えのようで、順番待ちが集中する。待ちながら見学できるのは、なんだか先に登った人に悪いような気がしたが、そんな余裕は私にはないのだからいいことにする。完登者は次の課題へと卒業していき、登れなかった人たちは残って登れるまで同じ課題をトライ。ポイントは2箇所あり、一つ目は小さなハングの回り込みと、二つ目は上部のトラバース。他の人を見ていると、案外早いスピードで上部まで到達しているのだが、2トライ目の私は、なんと途中で時間切れに‥。そんなに遅いという自覚がないので、かなりショックを受ける。同じルートに一緒にトライしているAさんは、ルートを登って気づいた有益なアドバイスや声がけをしてくだって、大いに参考になる。なにより、心の余裕がスゴイ‥。Kさんのアドバイスはいつもながら的確。Yちゃんの声掛けはとにかく力がでる。オープンクラスのJちゃんの声援も受けて勇気は倍増。お陰で、3トライ目で課題を完登することができたのであった。

既に腕がパンプしてしまった私は、暖かいテントの中でひとり大塚製薬(株)ご提供のアミノバリュー&BCAAでアミノ酸摂取にいそしむ。お腹もすいたのでソイジョイのピンク(ストロベリー)や黄色(アプリコット)をいただく。かなり美味しい。やっと力が戻ってきたところで次に向かうと、なんと、他のみなさんは既に2番目の課題をクリアされていた。遅きに失した感あり、ショック。2本目はトラバースからハングを超えて、上部トラバースへと続くストレニュアス(に見える)な課題。1つ目の核心となるハングが越せず力尽きてしまう。2度目のトライで膝を使ったりしてハングをなんとか越したものの、先のハングで力尽きて登れず。とにかく、持久力がないことを痛感。フリーであの程度のハングなら簡単なのに‥アックスを握る力がみるみる落ちていくのである。再度アミノバリュー&BCAAを投入しレストを入れつつ、何度も何度もトライするが、状況は悪化の一路を辿っており、ひとり残された課題に居残り気分が相まってだんだん悲しくなってきた。泣くに泣けない状況。見かねたJちゃんが”登れないと心がポキっと折れますね”と声をかけてくれ、その言葉があんまりにも私の心情にぴったりだったので、なんだか元気になって、またトライし‥。しかしやっぱり登れなかった。そんな私をビレイヤーのTさんは最後までいやな顔ひとつせずに暖かく見守ってくださる。いつか将来、奈良を訪ねて改めてお礼を申し述べたいと思う。

修了前30分のコール。2本目の課題はあきらめて、3本目の課題をトライしてみることにする。ツルツルの壁をトラバースしハング越え手前のところまでアックスを刺して修了。先週の江本さんの教えを守り、アックスの打ち込みに集中した。

結果は3本中1本完登で、取得ポイントは8点であった。これがどれだけの成績かというと、ビギナーで参戦した人の7割が3本完登し30ポイント以上を獲得、2割が2本完登で20ポイント前後、そして1本しか登れなかったのは私だけ、というひとりだけが最低ラインに突出した散々な結果。おまけに、去年の12月からはじめたというKさんは3本完登し決勝に進出しているのだから、はじめたばかりという理由も効かないのである。逃げ道もなく途方にくれる、明らかなる力不足というわけであった。

小屋は予想以上の賑わい、最初に通された部屋から移動をするように声をかけられる。近くにいたAさんが快く一緒の部屋をオファーしてくださった。とてもありがたい。聞いてみると、Aさんから何度かお名前を伺っていたアイスクライミングのスペシャリストであるOさんと一緒の部屋だそうだ。Aさんから「Oさんはいつも的確にアドバイスをくださるすごい方」で、「上手になりたいのならOさんに教えてもらえるといいね」と言われていたので、緊張しつつご一緒させていただく。KさんIさんもみなさんいつも一緒に登られているとのこと。部屋でIさんお手製のサーモンのパテとお酒をいただきつつ話を聞いているうちに、AさんKさんともOさんの下ですごいトレーニングを積んでいることが判明して、コンペの結果に納得する。それよりもクライミングに対する気持ちの高さに脱帽。

夕食は豚の角煮。美味しくて、残さず完食したら、食べ過ぎて内臓に血流が集中してしまったのか貧血のような感じになる。めずらしいことだが、部屋に帰って一人で横になる。7時のスライドショーにあわせて復活。馬目さんと岡田さんのテンカンポチェのスライドは見逃せない‥。美しいルート取り、美しい登り方。ため息がでる。80mロープをダブルで登って、場所によっては160m伸ばした、というのはよくわからなかったので馬目さんにお伺いしたら、160mは80mのロープをつないで登るのでトップは確保無しで、セカンドのためにロープを引いているだけの状態とのこと。だからこそのスピードなのだろう。お互いの力が拮抗していなければできないことだ。逆層の岩場、大きなセラック、頂稜も怖そうに見える。高リスクの登攀を淡々と自然体でこなす姿は本当に楽しそうで、かっこいい。超個人的に今回収穫だったのは、馬目さんが高所でグリベルマトリックステック(ハンマー)とクォンタムテック(ブレード)を使用していること。見せていただいたら、独自の細工をしていて、高所での使い心地はとてもよいという評価だった。馬目さんが使っているマトリックスちゃんとあらば、落氷も避けて通ってくれそうな気がする‥。

コンラッドさんのスライド&ビデオは凝った作りで、わかりにくい英語でよく会話は理解できなかったけれど、面白かった。高難度の登攀のうえに積雪で、危うい感じの登攀が続く‥。すごすぎる。遠征前と後で10キロ体重が落ちたそうだ。直下で頂上を断念して下山したのは、エネルギーが残っていなかったからというようなことを言っていたけれど、悪天の中あれだけの厳しいルートをあそこまで登るだけでもものすごいエネルギーで西洋人の底力を感じてしまう。個人的には、カトマンズ近郊にある冬に登れる氷のルートというのが、気になった。となりに座っていたMさんの反応も違っていたような気がした。

同室のAさんに連れられて、みなさんが集っている飲み会の席へ。Eさん、Jちゃん、Aさん、Iさん、Nさん、Yさん、Kさんなどなどその末席でみなさんの会話を聞かせていただく‥そして家族が寝静まったのを見計らってRちゃんが参戦して、炸裂した会話に大笑い。翌日決勝に出場するAさんは、コンディションなど気にする様子もなく、すばらしいテンションで酒を飲み続けていた。かっこよすぎる。女の中の女という感じ。北海道の皆さんも、遅くまで飲んでコンディションを気にする様子もなく‥。それで1位、2位を獲得してしまうのだから、本当に男の中の男という感じであった。途中、遅くまで決勝のルートを設置していた江本さんが夜中近くになって戻ってこられた。スタッフの苦労はただものではないことがわかる。

1日(日) 曇りのち晴れ いよいよ決勝。ビギナーのルートはトラバースからかぶり気味のハングさらに遠くのポイントに移ってハングを越えながら上部へ、という内容。オープンで使われた4つのルートのうちの一つ。Kさんがダントツで1位。後で聞いたところでは、オブザベーションの時にポイントを頭でシュミレーションしてそのとおりにつなげられたそうだ‥。今回の優勝は計算した上で得た成果のようで、すばらしいなあ、と思った。女性で決勝に残ったYさんとKさんの登りを見ていると、残念ながらかぶり気味のトラバースで落ちてしまったものの、レベルがぜんぜん違うということがわかった。

オープンの決勝は、私には計りしれない難しそうなルート。アイスのトラバースからドライのパートへ。ホールド間の距離がとにかく長い。女子入賞の韓国の女性クライマーやIさんは華麗な身のこなしで、ドライのパートをピノキオを越える辺りまで。かっこいい。男子入賞の北海道のYさんNさん、Yさんは最高。決勝は見ているだけでも楽しめるということがわかる。

最後は入賞者の発表と、じゃんけん商品争奪戦。私はカメラケースとノースのジャージ(S)をもらって大喜び。終了後は、Aさんに誘われて、ビギナー決勝ルートに取り付く。なんどかトライするが、やはり、ハングのトラバースで力尽きて落ちてしまう。最後、AさんのアドバイスとIさんの心強いビレーにより、帰りのしたくをする前にもう一度だけ、と取り付いたら、AさんやOさんやIさんのアドバイスで、テンション無しでなんとか上まで抜けることができ、かなりうれしかった‥。

帰りは、ありがたいことにご近所のEさんの車にまた同乗させていただけることに。近くのレストランで江本さんやIさん、Mさんご夫婦、北海道のみなさんとご一緒に洋食屋さんで夕食。帰りの車の中では、1年前にはじめ、今年のコンペではビギナークラスで優勝&好成績を残されたKさんYさんカップルとご一緒させていただき、Yさんからはトレーニングの話も伺うことができてあっとういう間に家に到着した。

2 comments:

shinjii said...

コンペ、お疲れ様でした。
イシゼキです。

最後のトライ、気合入ってましたね~
この調子で4月のkuniにも出場しましょう!

Masami 恩田真砂美 said...

イシゼキさま

コンペでは大変お世話になりました!

最後のトライ上まで行けたのは、イシゼキさんのビレイのお陰です。ありがとうございました。ビリの成績をたたき出した私ですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

サーモンのパテごちそうさまでした。

まさみ