19 March 2009

初めてのドライツーリング

15日(日)晴れ 今月はヨガの論文執筆に集中しなければならないのだが、進まず。ドライツーリングを経験してみたいという思いが膨らむばかりなので思い切って六合のアイスエクストリームへ。前日にオーナーの山本さんへ連絡を入れると、長野原草津口でのピックアップもOKとのことで決行とする。良く晴れた気持ちの良い日曜日。埼京線経由大宮乗換えで草津1号に乗車。ここからは下車駅まで直行なので、ゆっくりと本を読みながら旅気分を味わえる。2冊持ち込んだが、実際は爆睡。

駅には9時48分着。施設を管理されている湯本さんが迎えに来てくださる。朝早くから感謝。車では、登山のことから昔のテレビ番組の話まで。途中の柱状節理の岩場(熊が出没するらしい)など教えてもらう。近辺にも岩場や氷など面白い場所があるらしい。 アイスエクストリームは沢筋の開けた明るい谷間に位置していて、すぐとなりには公共の露天風呂もある。冬は沢の水を汲み出して氷の壁を作っている。六合村は西側からの吹き降ろしの風が吹く場所で、氷を作るには適しているらしい。シーズンも終わり、今は水を流して氷を溶かしている最中だとか。

到着し、コーヒーをご馳走になってから、アックスを持ってひとりトラバース壁を行ったり来たり。すぐにパンプしてしまう。8往復くらいしたところで、オーナーの山本さん到着。ジュンちゃん(犬)と梅ちゃん(猫)も一緒だ。犬のジュンちゃんは放し飼いされているのに、猫の梅ちゃんはハーネスを付けられている‥不思議な光景である。

山本さんからは開口一番「アイスキャンディーでは大変だったんだって?」となぐさめられる。「まあ、はじめたばかりなんだからしょうがないよ」。「いや、はじめたばかりの人も他にいたのに最低だったんです」というと、絶句していた。

ノミックと靴を貸していただく。アイスクライミングのコンペでギアの検査をするときに使われるというアイスボックス(山本さん自作)を拝見。箱の中にアックスが入れば規格に合格なのだそうで、比較的長さのあるムルシェラゴのレプリカ(山本さん自作)をボックスに入れても、縦横ともまだ長さは余るくらいであった。今後のギアのデザインはどう変わっていくのかなあ、と想像を膨らませる。また、横に突き出た板の長さで、靴の後ろ爪(今後は使用が禁止される)が規定どおりか測るのだそうだ。山本さんがドライ壁にトップロープを張ってくださる。右寄りのルートを登るが、ホールドが遠い。出だしで既に立ち込みに苦労する。仕切りなおして、かろうじて残っている氷の壁から取り付くことに。トラバースして前傾部分に入り込み上部へ。一歩ムーブを解決する毎にパンプしてしまいテンション。山本さんのアドバイスを受けつつ、五万時間かけてやっとルーフ下まで到達した。

この日は他にもパーティーがいるものと勝手に想像していたが、なんと貸切状態に。それも、オーナーの山本さん自らが専属トレーナーのごとくマンツーマンでご指導くださったのである。

昼は、山本さんと湯本さんが薪と鉄板で焼きそばを作ってくださった。まわりで顔を出しているふきのとうをつんで一緒に炒める。美味。地元の方も来られ、話をしながらの昼食。人口の少ない過疎の村にこのような施設を作るのは大変なご苦労があったのではと想像していたのだが、こうして、ゆるやかな交流をしつつ施設を維持されていることに感服。

食後一息ついてから、またドライ壁へ。今度は山本さんと交互に壁に取り付く。最後は、また五万時間かけて上まで。なぜか、一回目につかめた最後のホールドを今回はつかめず。とにかく、腕力なく、すぐにパンプしてしまうのであった。

山本さん曰く、ドライ壁のグレードはフリーでいうと11くらいなのだとか。ホールド間が遠いので、引き付けて次のホールドへ伸びなければ届かない箇所が続く。足のスタンスも少ないので、壁をアイゼンで蹴るようにして利用するのである。アックスは正面からホールドにかけるだけではなく、横からひっかけたり、場合によっては下からテコのようにひっかけたりと、山本さんからはアドバイスを受けるのだが、どこまでアックスの保持力を信じていいのか感覚がつかめず、怖がりな私は思い切ったムーブができなかった。それ以前に、やはり握力と腕力がない。ムーブのバリエーションもない。

山本さんからは、今後は 1)登る30分前のBCAA摂取 2)超回復を見込んだトレーニング をするよう指示を受ける。

帰路は、東京へ戻られる山本さんの車に同乗させていただけることに。途中、山本さんがオークションで手に入れたという物をピックアップするため高崎近辺の住宅街に立ち寄る。山本さんはパソコンや電化製品などご自分で組み立て改造ができるそうだ。車の内部も、自作の大画面GPSなど半端でない手作り感に溢れている。聞けば、官公庁などから依頼を受け検査機器などを設計し作成するというお仕事を長くされてきたとのこと。山本さんは70年代からアイスクライミングや冬期登攀を始められたそうで、昔のトレーニング方法など面白い話は尽きず。摩利支天中央壁のソロの話、ダイオキシンとゴミの問題など、話は多岐にわたり、いずれも詳細に語ることができる知識量の豊富さに圧倒されているうちに東京へ戻ったのであった。

後日、山本さんから「今回は『コソ練(秘密の練習)』だから他言しないのでがんばれ」という旨の心あたたまる励ましのメッセージをいただき、少々複雑な気持ちを抱きつつ少なくとも教わったことは実行せねばと決意したのである。

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