31 October 2009

笠間ボルダー

31日(土)晴れ 7時前に家を出発し、山手線から常磐線に乗り換えて茨城県の友部へ向かう。今週末は久美ちゃんと一泊二日で遠出を予定していたが、日曜日は天気が崩れおまけにがっつり寒気も下りてくるので急遽バスをキャンセルし、ボルダーに転向した。転向のタイミングや感覚が近くて調整がラクだった。

考えてみると私はボルダーだけを目的に山へ行くのは初めて…。今回はなんとジャックさんの講習会に潜入させていただくことに。

友部駅に集合し車で移動。田舎道を進んで15分ほどで到着した。ジャックさんは準備運動にヨガを取り入れていて、英雄のポーズなど。さすがだ。はじめに大黒岩でウォーミングアップ。パラダイスゲート(7級)からみんなで徐々に登る。ボルダーは大勢でわいわい言いながら登るのが楽しいんだ、と実感。実力の差があっても、それなりに楽しむことができる。

笠間ボルダーは基本がスラブ。ルートによりクラックなどがある。ねこ(?級)、アウトエッジ(4級)など順番にトライしていく。アウトエッジは一手がなかなか繋がらず何度目かのトライで登ったので、思わず「久美ちゃん登れたよー!」と声をあげてしまった。大黒岩は下りがルートでもあるノーハンドスラブ(10級)なので、ちょっと緊張する。

ひととおり登った後移動。山道を10分ほど歩くが、途中で4センチはあろうかと思われるスズメバチが飛んできて焦る。ある木の横を通り過ぎようとすると、威嚇するように迫ってきた。先行した人が調べると、木の根に巣を作っているらしい。迂回して先へ。

はじめに贅沢にもジャックさんの指導でクラック。落ちるとダメージ受けそうなくらいまで登るので緊張するが、後に引けない緊張の後に登り切る快感はボルダーの楽しさかも。スラブのルート。こちらも、明確なホールドがなく手をペタっと吸いつけて登る”スラブ的”緊張感は久しぶり。最後に一本何度も何度も何度もトライして4級のスラブ(ジャックさん曰く3級から4級)を登る。どうしても届かないと思われたホールドをつかめたときは、本当にうれしかった。まわりの応援にも勇気づけられ完登。久美ちゃんはスラブも得意らしく、初段のルートにトライしていた。さすが。

1日思う存分岩にへばりついていた秋の一日。ボルダーの楽しさに開眼しそうだ。

25 October 2009

MJリンク谷川岳晩秋版

25日(日)曇りときどき雨 朝6時半に上野駅で待ち合わせ。前夜は少なめにしたもののお酒が入ったので、遅れたらまずいと戦々恐々、早め早めと焦っていたら5時40分に到着しいくらなんでも早すぎた。

新幹線で移動し、田部井淳子さんが主宰する女性のための山登りサークルMJリンクのため再び谷川へ。今回田部井さんはブラジルへ行かれているため不在だが、中心スタッフの柏澄子さんがリーダーとなり、スタッフの安岡珠希さん、ガイド資格取得中でヨガインストラクターでもある西村志津さんとともに、20人の参加者と天神尾根を登る予定だ。

東京では前夜から雨が降り出し気温も急に下がったので天候が心配されたが、水上に一週間滞在しウィルダネスファーストエイド講習を受けていた柏さんの判断で決行が決まった。上野からは、安岡さん、志津さんと三人で山や仕事の話などで盛り上がりつつ上毛高原へ向かう。ロープウェイ駅に到着すると、雲の間からうっすらと青空も見えた。

谷川のロープウェイ駅で参加者の方々を出迎えるのも2回目。場所の配置や要領もわかるので、前回より格段にやりやすい。いつもながら柏さんの参加者への説明はとてもわかりやすく、リラックスしたもので、感心してしまう。そしてなんといっても安岡さんの笑顔は、場の雰囲気をパッと変えてしまうほど明るい。2人のメインスタッフが準備してこそのMJリンクなんだなと感じる。

今回はリーダーの柏さんからウォームアップにヨガをやってほしい、とお願いがあった。ヨガのインストラクターとして長く活動している志津さんのインストラクションでヨガ。志津さんは集まった人の心を開くのがとても上手だ。体も温まったし、心も温まる、よいウォームアップができた。

2班に分かれて登り始める。2班の間をあけるのには柏さんの心配りがあり、大勢で歩くことで周りに与えるインパクトをできるだけ少なくするため。安岡さんと私の班は後から歩き始める。しばらく登ると徐々に風が出はじめ、雨もぽつぽつと降り出してきたので、こまめに雨具の脱ぎ着で調節しながら進む。しかし、参加されたみなさんはとても元気。大きな声で楽しそうに会話をしながら登れる体力はさすが。

避難小屋を過ぎると岩場の登りが続く。岩場の登行は普段歩きなれていない人にとってはしんどいところだ。なんでもそうだが、慣れないからだの動きというのは必要以上に力を消耗するので、バテるというほどでもないが筋力的に疲れが出てくるところ。天狗の留り場に到着するといよいよ雨が降り出した。時間を取って改めてしっかりと雨具を着なおしてから先へ。ザンゲ岩で休憩し、さらに強くなってきた雨の中を肩の小屋までみなさんよくがんばった。

先に到着して休んでいた1班と合流。柏さんが見たところ、1班よりも2班の方が疲れているということで、風雨が強くなっていることも考えて、頂上はあきらめて下ろうということになった。

小屋を出ると強い風と雨だったが、安岡さんの声掛けで雰囲気が明るくなった。登りで少しスピードが落ちたかと感じていた方々も、下りでは復活ししっかりと下りてくることができて、みなさんの強さを実感する。

避難小屋手前まで下ると雨も収まり、思い思いにおしゃべりなどしながら無事ロープウェイ駅まで下ることができた。

最後も志津さんのインストラクションでヨガのクールダウン。志津さんは山でのヨガを広めたいと活動をしているが、さすがと納得の内容。ストレッチだけではなく、心までほぐすことができるのがヨガの魅力。それには、上手に場の雰囲気を読んで誘導するインストラクションが不可欠で、志津さんは見事なのだ。

最後は皆さんが乗車する水上行のバスを見送ってから、柏さんの車で振り返りをしながら東京へ帰京。

24 October 2009

ロックランズからクラシック

24日(土)曇りときどき雨 朝10時半に葛西駅で久美ちゃんと待ち合わせて23日金曜日にオープンしたクライミングジム ロックランズへ。葛西駅から千葉方面へ少し歩いたところにあるが、線路の左側から行ったら遠回りになった(右側から線路をくぐって行くのがベスト)。4階建のキレイなビル。早速受付をするが、会員番号は既に200番台だ。

1階には受付、広いトイレ、リード壁。2階は女子更衣室、3階に男子更衣室、4階は眺めの良いカフェテリアとボルダーエリア。2階の更衣室には鍵のかかるロッカーに化粧台と洗面、足洗い場まである。ひととおり見学をした後ストレッチをしてからボルダーで体を温める。久美ちゃんはさすがに体の動きがキレイ。

昼少し前に既にお腹がすいてランチ。カフェテリアからは葛西の町を見下ろすよう。大きな液晶テレビもある。飲み物は自販機があるので忘れても大丈夫。カフェの隣にはガーデニングエリアも。スタッフの方が、カフェテリアの細長テーブルや更衣室の化粧台、階段の壁画は東氏の手によるものだと教えてくれた。ガーデニングも東氏の趣味なのだそうだ。

食後はリード壁へ。5.8から徐々に上げていくが、10bではまった。どうやってもスタンスがなきゃ登れないよ、というムーブが出てくる。スタッフの話では、ルート設定は東さんがやっていらっしゃって、ムーブは難しく女子仕様ではないらしい…。いくつか登ったが、やはりどれもタイプが似ていた。セッターの個性を感じるのも、面白い。キレイなジムなので、女子好み。女子用のリードルートが増えるともっと楽しくなるだろう。不思議と人はまだ少なく、ボルダー壁に2人、リード壁に3組程度だった。

14時前にジムを出て、住吉へ移動。3日前に知人からコンサートのチケットをもらったので、クラシックにハシゴ。東京フィルの定期演奏会。矢崎彦太郎の指揮で、モーツアルト「交響曲第34番」、新実徳英「沈黙へ」、ストラヴィンスキー「プルチネルラ」、チャイコフスキー「イタリア奇想曲」。前衛の「沈黙へ」はいいなと思ったが、常連の方々の反応はいまひとつだったようだ。盛り上がったのは最後の「イタリア奇想曲」でスタンディングオベーションがあった。オーケストラの勢いを感じられるすばらしい曲だった。

外へ出ると雨が降り出していたが、われわれは最後のデスティネーションへ。神楽坂の大八を目指すが、なんと休みだったので、鳥竹で一杯。鳥料理中心の昔ながらの居酒屋だが、狭い店内はなんだかほっと落ち着いて飲むことができる。久美ちゃんの話を聞いていたら、集中してクライミングしていたときは5.12を登っていたとか。ジムでトレーニングしすぎて指が変形してしまったとも言っていた…。聞きださないと教えてくれない。能ある鷹は爪を隠すとはこのことであろう。

18 October 2009

ファーストエイド講習

18日(日)晴れ 秋晴れの爽やかな空気を吸いながら赤坂へ。ニュージーランドへ出発する前に予約を入れていたメディックファーストエイドでベーシックプラスCPR・AEDを受講するため。人を連れて山へ行ったりヨガ講習の機会が増えつつあるので、ファーストエイドの知識を持っていなければ、という思いから。山で一緒に活動することが多い友達のすみすみからは、1週間山に篭ってのウィルダネスファーストエイド講習の情報をもらったが、さすがに夏休み後の1週間は休めない。

数年ぶりに赤坂駅で下りたが、随分と様変わりしていてびっくり。MFA(Medic First Aid)の講習を提供しているオフィスは赤坂サカスから歩いて5分ほどのビルの中にあった。受講生はなんと他に1人と贅沢な講習会。日本に2人しかいないコアパフォーマンスインストラクターの1人という28歳の女性と一緒だった。もともとヨガインストラクターをされていたそうで、一度体を壊してコアパフォーマンス(体の中心から鍛えることによってパフォーマンス能力を高めるのだそう)に出会い魅了されてインストラクターになったそうだ。代表の野口氏はEXILEのパーソナルトレーナーなども務めているとか。休み時間になると、コアパフォーマンスがいかに面白く将来性があるか目を輝かせて語ってくれて、こちらも引き込まれてしまった。

ファーストエイド講習は、救急の現場で救急隊が到着するまでの間いかに最善の状態で現場を管理するかという視点から考えられたもの。わかりやすい指導員の説明とビデオ講習を受けつつ、実践を行うという手法で、緊張することなく身に付けられる雰囲気だった。現場に居合わせたら、まず、自ら危険がないかを見極めた上で応急処置を手伝う。感染予防のために必ずグローブをして近づき、呼吸の有無を確認、なければ気道確保とシールドを使った人工呼吸と胸部圧迫、意識があり脊椎損傷が疑われれば首を固定。出血や骨折箇所を確認、怪我をしていなければ回復体位にして呼吸を観察する。判断は救急隊員に任せるが、つなぎをスムーズにするための状況把握、呼吸に異常が見られる危機的な状況においてはCPRやAEDでアクションが起こせるようになるための訓練が中心だ。ペアで交互に役を変えて実習する。

非常時の対応を学ぶということと、救急隊員と現場をつなぐ重要な役割を担う意識を持つということにおいて、とても分かりやすい講習。講師の猪狩氏によると、山岳関係の人も多く受講に来るそうだが、航空会社や医療関係者が多く受講に来るそうだ。

一緒に受講したノリコさんからは、コアパフォーマンスをぜひ受けに来てと言われアドレスの交換。代表の野口氏が最近中目黒にできたbe myselfで火曜日17:15から教えているそうだ。登山やクライミングにも絶対効果がありますよ、と。会社が終わってから行くとなると難しいが、行けるように画策してみよう‥。

ノリコさんは顔もスタイルもモデルのよう。イスに座っていると私より顔も背も小さいのに、席を立ったら、15センチくらい高かった。

10月12日~17日の覚書

12日(月)晴れ 昨日から実家へ泊まり、母の料理に舌鼓。ニュージーランドの土産など。11日に成田に到着し、ずいぶんと秋らしくなっているなあと思った。気温も低くなったし、湿度は低く、空が高い。

13日(火)晴れ 仕事。机の上には書類の山。後回しにできるものは後で。今週中に期限があるものを先に。と思っていたら、上司の一人から今日中にやって欲しいことの指示を受けて順位入れ替え。いずれにしても、今週中にやるべきことはあせってやってはいけない類のものなので、落ち着いてから手をつけることにする。

14日(水)晴れ 帰りに二度目のタオ指圧へ。紀伊国屋で見つけた遠藤喨及氏の「タオ指圧入門」がきっかけ。今日も滞りのある経絡から邪気を流していく。体の芯が硬くなっているといわれる。以前スポーツトレーナーのストレッチを受けているときに力を抜けといわれても抜くことができない(力を抜く方法がよく分からない)自分に気づいたことがあるが、やはり、芯がなかなかほぐれないのだそうだ。しばらく通ったほうが良いかもしれない、と。現在気になっている症状は腎の経絡が滞っている可能性があるようだが、1ヶ月コーヒーと白砂糖をやめてみてくださいといわれる。

15日(木)晴れ ヨガ2度目の中間レポートをグループでシェアするため、自分の資料を作成してとりまとめをしてくださっている講習生のへメール。講習生といっても、大学で心理学の准教授をされていて臨床心理士をされている方。ヨガが心理療法として効果があると考え研究されているそうだ。なので論文発表などはお手の物、効率的効果的に作る方法を惜しまずにシェアしてくださる。ありがたいこと。

16日(金)晴れ 翌日のヨガインストラクターの準備。ニュージーの山でのデービーの料理好きの影響を受け、夜の料理が楽しい。元気な証拠でもある。料理への興味というのは伝播するものだと思う。友達の美味しい手料理を食べたあとなど、自分で料理を作りたくなる。

17日(土)曇り 昼から、志津さんのヨガクラスでインストラクターデビュー。志津さんのクラスは、ショウコさんという代表の方が始めたクラスで、インストラクターを目指す人たちに機会を与えているとのこと。悩んでいた私を、志津さんが誘ってくださったのだ。本当にありがたい。ヨーガニケタンでは理論やレポートを量産(?)しているが、なかなか現場でインストラクターをするという機会はない。自分で開拓して経験を積んでいくしかないのだが、そこには壁がある。今日は、志津さんとアイさんがメインインストラクターで、私はイントロの体ほぐしを担当。志津さんとアイさんはさすが息もぴったりで、場の雰囲気作りなど見事。さすがプロ。志津さんの自然体ながら暖かい雰囲気のインストには、いつも気持ちが前向きに明るく変わるような感覚がある。肩や胸を開くことで気持ちをオープンにするポーズを積極的に取り入れているからかもしれない。瞑想も深く眠りそうになってしまった。やさしさが伝わってくるのだ。アイさんは、プロとして各所で教えながら、ワークショップに積極的に参加して勉強し続けているそうだ。アイさんのチャンティングはとても素敵。チャンティングとは真言を音にのせて唱えるもの。肉体レベルではなく体を取り巻くエネルギー体に効くといわれている。音がびりびりと響いてくるようで余韻が残ってリラックス。私が習っているチャンティングと同じだった。アイさんのようにすれば怪しい感じがしない、ということがわかり興味深かった。一つのクラスでいろいろなインストラクターの個性を感じられるのは贅沢。今日は、現在ヨガインストラクター資格取得中の妹(今まで一緒にヨガをしたことはない)が来てくれた。帰りは二人でお茶しながら、今日の私のフィードバックを受け反省会。率直なコメントをもらえるのは貴重。帰りに勉強すべきテキストを本屋で物色して帰宅。志津さんやアイさんのように、勉強を続ける姿勢が大事なのだ。

9 October 2009

ワナカの一日

9日(金)曇りのち晴れ ワナカはここ数日寒いようだ。朝は5度くらいだろうか。今日はワナカでの最後の一日。家族や友達にお土産を買いに町へ。小さな町なので、あまり店はないのだが、個性的で品揃えのおしゃれなところもいくつかあり、楽しいショッピング。レストランもどれも個性的で落ち着ける場所がいくつかある。ほぼ予定どおり買い物ができたのだが、ひとつだけ、山小屋で見たケトルがあまりにもシンプルでかわいかったので自分用に欲しいと探し回ったが、もっとおしゃれなものは置いてあっても、昔風の普通のケトルを置いている店がなく残念だった。町を歩く人たちは、ノースフェースやアイスブレーカーなど、山着同様の服装で歩いている人たちが多い。いつでもアウトドアに出て行けるといった感じだ。若者はストリートファッション、男の子たちはジーンズをダブつかせていたりして、日本と変わらないか。日焼けしている人も多く、スキーやスノーボードを日常的にやっているのかもしれない。みんな、シンプルだけど、なかなかおしゃれに着こなしていて、同じブランドを着ていても、こういうおしゃれ感を出せない自分を思ったりした。山道具屋や本屋も回り、ルート図集など買い込む。帰りの荷物が重量オーバーにならないように気をつけねばならない。山道具屋では、デービッドと会う。次の仕事の準備をしているのだとか。けっこう忙しいのだ。彼はユニークで同じ年でクライミング暦は30年といっていたから、70年代からスコットランドで洗礼を受けたタイプ。見るからにそういう感じなのだ。トラッドのナチュラルプロテクション、アルパインがメイン。最近は、家作りにも凝っていて、過去に建てた2軒は人に貸していて家賃収入があり、最近作った1軒は自分が住んでいる。「じゃ、家賃収入だけで暮らしていけるんじゃないの」と聞いたら、そうだ、というのだ。家作りは大好きだけど趣味ではなく仕事なのだそうだ。家を見せてもらったが、シンプルながらきちんとした作り。過去の家々もそれぞれデザインが異なり、おしゃれだ。こんな生き方もあるんだなあ、などと思うのだった。夕方は日本語入力ができるインターネットカフェでブログアップ。自由でうきうきするような、この下山後の時間を思い切り楽しんでおこう。

8 October 2009

下山

8日(木)曇りときどき雨 7:30起床。クラッカーにチーズとサラミとトマトをのせ朝食。紅茶を飲みながら私が「昨日寝る前に読んだショートストーリーが泣けたんだよね」と話すと、デービッドがどんなストーリーか教えろと。浅田次郎「月下の恋人」の中にある「忘れじの宿」なのだが、実に日本的な心情を描いたもの。私のつたない英語で、ストーリーを説明したのだが、説明してみるとなんとも陳腐な内容となってしまったのだった。が、私だけそのストーリーを思い出しながら泣きそうになるという始末で、笑える光景。最後に「多分わからないよね」というと、「いやわかるよ」とデービッドは答えていたが‥。今日はヘリで下山予定。チャンセラー小屋から下部は大きなクレバスが口を開けていて見るからに大変な氷河が続くのだ。歩いて下るというオプションもあったのだが、天気の悪さを考え小屋からヘリコプターで下ることで意見が一致した。9:00ピックアップ予定のヘリに合わせ、パッキングと片付け。この小屋には備え付けの洗剤がなく、お湯を沸かして食器を洗うが、トムヤムクンは思いのほか油分があるらしく、なかなかキレイにならないようだ。小屋のすぐ上にヘリポートがあり、そこまで荷物を運んでおく。ヘリポート3メートル×5メートルくらいだろうか。こんな狭さで止まれるのかと思うほどだった。予定の9時に一度ヘリが近くまで来たが、濃霧のため着陸できず。やきもきながら待つと、20分後霧の合間を縫ってやっとヘリは着陸することができた。ギリギリにうまい具合に着陸する技はたいしたものだった。荷物を詰め込み、ヘリへ乗るとすぐに飛び立った。行きもそうだが、帰りのヘリもパイロットは淡々としたもので、私から見るとこんなすごいことをしているのにこの姿勢はなんだろうかなどと考えたりした。海がどんどん近くなり、緑の中にヘリは止まった。なにより無事の下山を喜んで、荷物を車へ運ぶ。「シャワー浴びてから帰りたいよね」ということで、何日か泊まっていた宿にシャワーだけ借りに行くが断られ、ニュージーランド山岳会所有の小屋へ。ひとつしかないシャワーを3人で交代に使ってささっときれいになってから、近くのカフェでブランチ。デービッドが南極の基地で働いていたときの上司だったという老人がご夫人とカフェに入ってきて、偶然の再会に驚いていた。食後、ヘリ会社、自然保護センターなど関係者に挨拶まわりをしてから、一路ワナカへ。途中景色の良いところで何度か止まりながら、3時間ほどでワナカへ。オフィスへ戻りギアの片付け。ビールで乾杯。写真の交換などなど約束し、それぞれ家路についた。

7 October 2009

Chanceller Hut

7日(水)快晴無風午後から曇り時々雨 6:00起床。ミューズリーとトースト、お茶、コーヒーで朝食。予測より天気は持っているようで、外は無風快晴。風がないだけでこれほど暖かいものかと改めて思うほど。早いうちに1700メートル付近に建つチャンセラー小屋まで下る予定だ。備え付けの食器を洗い(この小屋では水を作り、食器などは湯を沸かして洗剤を入れて濯ぐ)、掃除をし、かなり気を使って片づけをした(つもり)。なんといっても、デービッドの気の使いようは気合が入っていて感心してしまった。装備を分け、賞味期限の長い食料は日付を書いた箱に入れて残していく。久しぶりに重荷といった感じ。9:30小屋発。パイルジャケットだけで十分な暖かさ。私がトップで昨日机上講習どおりのルート取りで下っていく。小屋から続く尾根沿いに下り、途中で氷河を横切り、チャンセラー小屋へと続く尾根へと入っていく。重荷でも下山であるから、雪に足をとられながらも楽しい氷河歩行である。とにかく美しい雪原に自分がトレースをつける楽しさといったらない。じきに暑くなって三人ともレイヤー一枚だけになって歩くことになった。氷河をとなりの尾根へと横切るときには、照り返しもすごく、高所のあの日差しを思い出す。氷河はところどころクラックが走っていて、通過に緊張する。できるだけロープを張り気味に歩くようにする。となりの尾根に近づくと、大きなクレバスが口を開けるようになった。ひとつのクレバスを通過すると、デービッドが「どのくらい深いか」というので、近づいてみるが怖くて下までみることができず。「下までは怖くて覗けないくらい深いです」というと、「じゃあ、ここでクレバスレスキュー訓練をしよう」と。ザックをロープの先に着け、クレバスに落とし込む。ロブと私はそれぞれのロープで、レスキューシステムを作る。下界で何度も何度も練習したので、すぐにできるかな、と思っていたが、雪上でやってみると案外手間取ってしまった。改めて思うがロープワークはとにかく実践して体で覚えこむしかないのだ。1時間ほどレスキューシステムの設置と引き上げの練習をし、再び荷物をまとめて13:00出発。氷河では、できるだけ傾斜の少ない平坦な箇所を選んであるくとクレバスが相対的に少ないそうだ。14:00ころからガスが出始める。チャンセラー小屋へと続く尾根へトラバース気味に入り込み、尾根をしばらく下ると、赤い屋根のチャンセラー小屋が見えてきた。まるで、谷川かどこかの尾根に建つ小屋の風景のようだった。この小屋は、高所に建つ小屋で最古のものだという。シンプルながら、二つの部屋を持ち、12人は寝られるスペースとキッチンダイニングは、居心地のよいものだ。小屋に入ると、キーキーと鳥の鳴き声がする。「キウイだね。装備を早く中に入れたほうがいい」とデービッド。キウイは物をなんでも持っていってしまうのだそうだ。じきに、ぽつぽつと雨が降り出した。明らかに天気は下り坂。この小屋は雨水を集める樽があり、水はそこから取るので雪を溶かす必要がない。屋根の梁を利用して再びロープワークの練習をした後、夕食作り。今日はトムヤムクンにクスクス。料理をしていたら部屋の角をねずみが通り過ぎた。夜は、スコットランド出身のデービッド(ロブもスコットランド人)が持ち込んだスコッチを飲みながら、いろいろな話。ロブは物理を教える先生だったが、そろそろ仕事に飽きたので、ニュージーランドへ来てスキーインストラクターの資格を取得した。過去に子供たちを連れて行った南米やアフリカの話で盛り上がる。23時就寝。

6 October 2009

Mt. Gray

6日(火)快晴 3:30若者二人は起床し4時ころ出発したようだ。我々は6:30起床、湯を沸かし、7時前に明るくなるのを見計らい、紅茶のミューズリーを食べたりトーストを焼いたりしながらゆっくりと朝食を取る。装備を揃え9:30小屋発。空は晴れ渡り、海と氷河を見渡すことができるこの景色は、とにかく素晴らしい。ただ、風が強く、とても冷えるので注意が必要だ。入山前からなんども練習をしている氷河でのロープワークは、かなり慣れてきた。自分に巻きつけタイオフし、プルージックを装着するのも、厚めの手袋でさっとできるようになってきた。大斜面を登り、グレーピークのコルを目指す。今日は、ルートを登りながら技術を確認する日だ。1時間ほど歩くと、途中に若者二人が登っているダグラスピークの南壁が望めるプラトーに到着。眺めると急峻な氷のクーロアールがまっすぐと頂上まで伸びており、実に美しいルートなのであった。改めて彼らのすごさを思いつつ先へ。11:30コルに到着。西側へとつながる峰々を見渡しながらゆっくりと腹ごしらえ。12:30登攀開始。氷と岩のミックスから始まりまずリードさせてもらう。アイススクリューが効き一本目のアンカーを取る。あとは小さめのロックスと岩のタイオフで。2ピッチ目は雪壁でロブがリード。あまり傾斜なく、簡単だったからと、3ピッチ目の岩もリードとなる。4ピッチ目は氷のクーロアール。氷にスクリューを入れようとするが、なかなか入らず、すぐに岩へ逃げて岩でアンカーを取りつつ上部へ。どのピッチもインストラクターのデービッドからアンカーの確認や指導を受けながら登るため時間がかかる。氷のクーロアールを抜けると頂上へと抜けるナイフエッジが続く美しい稜線なのだが、これ以上行くと時間が足りなくなるだろうということで16:30懸垂で下降を開始した。17:10取り付きに到着下山開始。18:30に小屋へ到着した。頂上へ行けなかったが、楽しい登攀だった。フォックス氷河近辺の小屋では5時にラジオの定時交信がある。下のセンターからそれぞれの小屋へ気象予報のお知らせと、小屋からはその日に泊まる人たちの人数と代表者の名前を伝えねばならない。我々は、持参したトランシーバーから状況を報告。ちょうど同じ頃下山してきた若者二人も下山中と伝えると、センターからカールへ伝言ありとのこと。小屋へ戻ってから再度連絡をとると、どうやらカールの親戚に不幸があったとの伝言らしい。登攀の満足感に浸る暇もなく、彼ら二人は急遽ヘリを呼ぶこととなる。さっさとパッキングをし、19時にまだ明るく好天の中ヘリが到着した。下から「ヘリは500ドルかかりますが大丈夫か」との確認があると、リーダーであるマイクは迷いなく「大丈夫僕が支払います」と返事。そこにはなにより仲間を大切に登っている姿が感じられて、二人は本当にいいパートナーなんだろうな、と思ったのだった。大好きになった二人がヘリで下山したのは、なんだか淋しかったが、3人で「なんだかこの小屋に長く住み着いているような気がするよねえ」などと言いながら、静かにマトンカレーなど作りゆっくりとすごす。翌日は天気が崩れ始めることが予報でわかっていたので、下のチャンセラー小屋まで下山することを決め、ナビゲーションとGPSの講義を受けてから就寝。

5 October 2009

雪上訓練

5日(月)快晴 6:30起床。快晴、宿の温度計は1度を指している。軽い朝食をとり8時宿発。ヘリポートで荷物を降ろし、8;45ヘリに搭乗、好天の中山へ向けて飛び立つことができた。2300m付近に建つパイオニアハットへ。初めてのヘリでの入山。深い谷に広がる氷河、急峻な岩や雪を抱いた山々。3000メートルそこそことは思えない、驚くべき雄大さだ。9;00にパイオニアハットへ入る。ニュージーランド山岳会が管理している無人小屋は、キッチン台と9人はゆうに泊まれるベッドからなる、居心地の良い空間だ。食料と装備を整理し、10;00から雪上訓練へ。弱層テストを行ってから、雪上のアンカーをいくつか作り強度テスト。雪は1メートルの間に2箇所特に弱い弱層を持っていて、アンカーをうまく埋めないと、弱層を切ってしまい難儀した。スノーボラードは、よく踏み固めた上で深さ70センチくらいで作ったところ、かなり強力に出来上がった。後、滑落停止。久しぶりに自分で滑落停止の練習ができた。通常のものは良いが、左手(利き手とは逆)でのピックの打ち込み、後ろ向きでの滑落は私は苦手であることが良くわかった。小屋に戻ると、若者が二人スキーで下の小屋から上がってきていた。クライストチャーチからやってきたといい、一人は大学を卒業したばかりのフリーターであるMike Lowe、もうひとりは大学生のCarl Bishop。いまどきの日本でも見かけそうな若者だ。とても気のいい二人は、私が後ろ向きの滑落停止がうまくできなくて、と話すと、箒をピッケル代わりに持って床に転がってみてよ自分たちがGravityを作ってあげるから、といい、私を床の上で転がしながらこう引力がかかってきたらこのタイミングで体をひねってピックを指すのだ、と丁寧に教えてくれたのだった。人としても気持ちのいいクライマーである…さすがだ。彼らは明日、Douglas Peak南壁 Left Couloirという5級上の氷のルートを狙うのだという。南半球ではいわゆる北半球の北壁は南壁にあたる。ギアを見ると、マイクは両手にノミック。カールはグリベルだった。私たちのインストラクターであるデービッドは「本チャンもリーシュレスでいっちゃうの?自分は怖くてできないよ」と言い、講習生のロブが「それがいまどきでかっこいいスタイルなんじゃないですか」と言う。若い二人は、「難しいところではピックを肩にかけて休むんでリーシュがあるとじゃまなんですよ」とか言っている。なんだか、日本でも聞きそうな会話だ。彼らに聞くと、予備のアックスを1本背負っていくのだそうである。冬の氷はどこがいいの?と聞くと、7月から8月のWye Creekがいいよ、と教えてくれた。クライストチャーチを基点に、スキーで入れば20分の登りで取り付きまで1時間くらいなのだそうだ。夕食はチリとクスクス。デービッドは本人が料理が好きというほどで、本当に美味しいメニューを考えてくれる。大満足。食後、若い二人が真剣にギアを整理するのを傍で見物。二人で相談しながら、ギアを分け合う姿は楽しさと緊迫感が伝わってきて、うらやましくなる。21:45就寝。

4 October 2009

晴れなのに

4日(日)晴れ 天気予報どおり、晴天。喜んで飛行場へ行くが、晴天まちをしていた人がいるらしく、順番がなかなか回ってこない。朝のフライトにはどうやら乗れないようなので、コーヒーショップでコーヒーを飲みながらルート図など見ながら時間をやり過ごす。ルート図を見ていたら、これ自分が作ったルートだよ、とデービッドが教えてくれた。Notforustoというルートをバンパイアピークに開いたのだと。1996年10月 5級のルートだった。アプローチが雪崩そうで悪く、氷と岩のルーとだそうだ。昼近く、ヘリの飛行場へ行き、氷河でのレスキューシステムを車を利用して何度も練習。こういうロープワークは、とにかく何度も練習をして身につけるしかないので、何度も何度も練習ができる環境はありがたい。しかし、これほど天気が良いのにヘリは飛ばず。パイロットによれば、行き先であるパイオニアハット付近は風が強すぎるのだそうだ。しばらくすると、他の登山パーティーがやってきた。3人のニュージーランド人。山の話で盛り上がり、一緒にビーコンの探し合いのゲームをした。彼らは、ニュージーランド山岳会の所有する山小屋泊。私たちは、3日泊まっていた宿へまた戻って明日までヘリまちとなった。夜は、ステーキとサラダで満腹。食べ過ぎの感あり。夜は、また、今日出会ったクライマーたちと一緒にパブで一杯。普段の仕事や、山の話で大盛り上がり。山のつながりはこれだからやめられない。明日こそ、ヘリが飛びますように。

3 October 2009

氷河でアイスクライミング

3日(土)曇りときどき雨 6時起床。曇りなのでヘリが飛びそうな雰囲気だったが、準備しているとなんと激しい雨が突然降り出した。インストラクターのデービッドがヘリのオフィスへ確認に行ったがやはり飛ばないとのこと。代わりにギアをもって氷河までアイスクライミングの講習をしにいこうという。準備したものの、激しい雨の中でアイスクライミングをし山に入る前に装備ともどもびしょ濡れになるのはいやだったので、「雨が止むまで屋内でできる講習が希望なんだけど」と一応言ってみた。講習生のロブは行く気満々だったのだが、午前中は室内でロープワーク(氷河でのレスキュー)のシステムの作り方の講習となった。こちらの雨は、スコールといってもいいくらいの激しい雨が突然降り出す。午前中は激しい雨が降ったり止んだり。氷河に出て雨に打たれなくてよかった。昼の休憩後、雨も止んできたので外へ出ることに。10分ほどドライブし、フォックス氷河の入り口へ。40分ほど山道を歩き氷河に降りると、練習に使えるほどの小さな氷のタワーが乱立している。クレバスがはっきりと見える氷河をドライグレーシャーといい、雪でクレバスが見えない氷河をウエットグレーシャーということを教えてもらった。大きなクレバスがあるというわけではなく、比較的安定しているように見えた。装備を付け、アイスクライミングの基礎からリードの練習をさせてもらった。昨日学んだアンカリングシステムを駆使し、適度に柔らかい氷をアックスでリードするのは、楽しい。最後は、アバラコフの作り方を練習し、本日は終了。明日から数日天気は安定するようなので、明日はヘリが飛ぶといいのだが。楽しみに早めに就寝。

2 October 2009

机上講習

2日(金)雨のち曇り 明け方から大雨。それは驚くほどの勢いで、通過してきた西海岸の森は熱帯雨林(Rain Forest)と言われにわかに理解ができなかった謎が解けた。西からの低気圧がニュージーランドの南アルプスの高山にあたり大量の雨を降らせるのだ。驚くべき気象環境。午前中は今回の天気予報をインターネットから引き出して、天気についての机上講習。南半球は高気圧の吹き出しが時計とは反対でそれは北半球とも反対。ニュージーランドの天気の変化のパターンや、低気圧や高気圧の現れ方、気象の基本から応用までざっと習うことができた。昨日、夜にパブで(今回の講師、講習生とも英国出身で夜はパブで一杯なのだ)話を聞いていておどろいたのは、なんとニュージーランドでは氷河が発達しているのだという。「反対じゃないの?北半球のどこも氷河が退行しているのに」というと、フォックスグレーシャーやタスマングレーシャーは間違いなく発達しているのだそうだ。驚いた。昼前にアンカーシステムの作り方について実習。基本なんだから知ってるつもりだったが、流動分散をしたら、これじゃだめだと。流動分散、かつ、オーバーハンドなどで固定しアンカーを作るのが今は主流で、アイスクライミングなどで不安定な支点の場合はやむなく私が使っていたような流動分散を使用することもあるらしい。しかし、このシステムは考えなくてもさっとできるので、しばらく新しいシステムに慣れるまでは、苦労しそう。とにかく、今日だけでも何度も練習をした。一番いい方法は?と聞くと、とにかく、状況に合わせ(カラビナやシュリンゲの数、ルートの形状など)臨機応変にEquiloaded and Independentなシステムを作ること、これ、という形ではない、と言われてしまった。ううむ。昼は、気分転換に外のレストランへ車で移動。草原の中にぽっと佇むおしゃれなレストランで感激。チキンのパニーニとカフェラテ。天候が好転してくる兆しが見えたので、みんなで、ヘリのオフィスへ確認しにいくと、明日は飛びそうだと。国立公園の事務所で地図を購入。午後はクレバスの自己脱出の訓練(2回からロープを下ろして)。宿はバックパッカーなので、基本は自炊。老若男女、自由に旅をしている人たちが集まってキッチンをシェアする。これから、夕飯づくり。明日の朝のヘリを祈ってっ準備。

1 October 2009

フォックスグレーシャーに到着

1日(木)晴れのち曇り 5:30に起床し、7:30分にオフィスへ。天気が崩れる予報があるため、早めに車で出発する。今回の講習会講師デービッドと講習生のロブと私の三人。3時間半のドライブで、麓のフォックスグレーシャーに到着するが、曇天のため今日はヘリコプターが飛ばず停滞となる。氷河でのロープワークなどなど講習。詳しい説明があり、勉強になる。何度もロープをつけたり外したり練習。現場でなるべく手間をかけず、できるだけ多くルートに行きたいな。日曜日まで天候は不安定のようだが、学ぶべきことは沢山あるので楽しみ。さて、どうなるか。