8 October 2009

下山

8日(木)曇りときどき雨 7:30起床。クラッカーにチーズとサラミとトマトをのせ朝食。紅茶を飲みながら私が「昨日寝る前に読んだショートストーリーが泣けたんだよね」と話すと、デービッドがどんなストーリーか教えろと。浅田次郎「月下の恋人」の中にある「忘れじの宿」なのだが、実に日本的な心情を描いたもの。私のつたない英語で、ストーリーを説明したのだが、説明してみるとなんとも陳腐な内容となってしまったのだった。が、私だけそのストーリーを思い出しながら泣きそうになるという始末で、笑える光景。最後に「多分わからないよね」というと、「いやわかるよ」とデービッドは答えていたが‥。今日はヘリで下山予定。チャンセラー小屋から下部は大きなクレバスが口を開けていて見るからに大変な氷河が続くのだ。歩いて下るというオプションもあったのだが、天気の悪さを考え小屋からヘリコプターで下ることで意見が一致した。9:00ピックアップ予定のヘリに合わせ、パッキングと片付け。この小屋には備え付けの洗剤がなく、お湯を沸かして食器を洗うが、トムヤムクンは思いのほか油分があるらしく、なかなかキレイにならないようだ。小屋のすぐ上にヘリポートがあり、そこまで荷物を運んでおく。ヘリポート3メートル×5メートルくらいだろうか。こんな狭さで止まれるのかと思うほどだった。予定の9時に一度ヘリが近くまで来たが、濃霧のため着陸できず。やきもきながら待つと、20分後霧の合間を縫ってやっとヘリは着陸することができた。ギリギリにうまい具合に着陸する技はたいしたものだった。荷物を詰め込み、ヘリへ乗るとすぐに飛び立った。行きもそうだが、帰りのヘリもパイロットは淡々としたもので、私から見るとこんなすごいことをしているのにこの姿勢はなんだろうかなどと考えたりした。海がどんどん近くなり、緑の中にヘリは止まった。なにより無事の下山を喜んで、荷物を車へ運ぶ。「シャワー浴びてから帰りたいよね」ということで、何日か泊まっていた宿にシャワーだけ借りに行くが断られ、ニュージーランド山岳会所有の小屋へ。ひとつしかないシャワーを3人で交代に使ってささっときれいになってから、近くのカフェでブランチ。デービッドが南極の基地で働いていたときの上司だったという老人がご夫人とカフェに入ってきて、偶然の再会に驚いていた。食後、ヘリ会社、自然保護センターなど関係者に挨拶まわりをしてから、一路ワナカへ。途中景色の良いところで何度か止まりながら、3時間ほどでワナカへ。オフィスへ戻りギアの片付け。ビールで乾杯。写真の交換などなど約束し、それぞれ家路についた。

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