4 January 2011

ジョウゴ沢(単独)

1月3日(月)夜19:50分新宿発の中央高速バスに乗り(新宿→茅野 上諏訪→新宿で往復5,600円)、茅野駅へ。23時過ぎに到着後、駅から5分ほどのところにあるホテルわかみず(1泊3,500円)に投宿。

ツイッターで情報交換している某野宿野郎さんによると、最近はステーションビバークをする人の数が以前に比べて減ってきているのだとか。昔は嬉々としてステーションビバークをした私であるが、最近は安い宿があるのなら布団で寝たい派に堕落しているため、必死で検索して安宿を見つけた。若干寂しいけれど、悪くはない宿だった。

翌日は天気予報は晴れ、夕方から翌翌日にかけて下り坂の予報であった。天候や山の状況を見て行動を決めるつもりで、登攀具一式(10.3×30m、アイススクリュー2本、シュリンゲとカラビナ4セット)を持ってきた。この登攀具はつまり、ひとりでどこか簡単な沢に入るか(敗退用)、もしくは、アイスキャディーで遊ぶ(TR用)か応用できる最低限のものだ。

失敗したのは、茅野駅発美濃戸口行き6:40分のバスがこの日運行していなかったこと。時刻表をしっかり見ればわかることなのに、朝早く起きてバス停で気づいた。ふたたび宿に帰って8:40のバスまでフテ寝。

8:40分のバスに乗り込むと、乗客は私のほかに男性1人だった。美濃戸口バス停で行き先をジョウゴ沢と書いた登山計画書を提出して、10:30に出発。今回はなるべく汗をかかないように気をつけながら歩く。12:30に赤岳鉱泉着。ハーネス、アイゼンを装着し、軽くレーションなど食べる。天候は晴れ、調子も良いのでジョウゴ沢へ行くことにして、12:50鉱泉発。

出合に12:56着。そのまま沢を進む。どうやら貸し切りのようで、人の姿がない(乙女の滝にも取り付いている人がいなかった)。
F1は階段状の氷を登り、F2へ。実は今回の核心はF2だと前夜から何度もシュミレーションしたのだ。私は超ド級の恐がりなので、見て登れそうじゃなければあっさり高巻くつもりで観察する。15mほどの滝だが、落ちたらあまりうれしくない。でもまあ、しっかりと氷結した真ん中あたりなら、行けそうに見えた。途中でハマったら、スクリューを打って懸垂してしまうつもりで取りつく。一歩一歩がいつになく真剣になる。アイゼンの蹴り込みも、ああ、かかとを下げるってこういうことね、と妙に納得しながら登る。途中左に寄りすぎてハマり、戻ってから上部へ抜けることができた。登りきったときには、後ろを振り返って「やったー」と声を出した。簡単とはいえ、けっこう、うれしかったのだ。
そのまま沢をつめ、右岸から入り込む硫黄岳の稜線へと抜ける支沢を見上げる。トレースが全くなかった。今回のもう一つの懸案は、沢へ入ることによる雪崩のリスク。どうだろうと自分に問いかけながら上部を観察するが、ところどころ出た岩が良いシェルターになりそうだということにして、進むことに決めた。要は行きたい気持ちに素直に従うことにしただけだ。
沢は膝から場合によっては腰までもぐるラッセル。4つ小さな氷の滝を越える。ラッセルし、滝を越え、ラッセルし、雪面を上へ進む。途中の滝では、ボルダーチックなムーブが必要だった。落ちても最悪の事態にはならない場所だったので、右へ行ってみたり左へ行ってみたりしながら乗り越した。今回わかったのは、人と一緒のときよりも登れそうもない個所で焦る気持ちがじわりと出てくることだ。岩登りがうまくなることと同時に、あまり焦らずに方法を解決しようという自己コントロールのようなものも必要だな、と思った。

横岳を望む美しい雪の斜面に出て、さらに上部を見ると、樹林帯の尾根が硫黄岳への稜線へと続いていた。13:40頃からパラパラと雪が降り始め、風も強くなってきた。予報よりも早く天候は下り坂になり始めているようだった。しかしここからのトレースのない樹林帯は、さらに激しいラッセルとなった。うまくルートをとらないと、胸までもぐる個所も出てくるほどであった。歩いても歩いても、なかなか稜線が近づいてこない。うまく歩いていたと思ったら、落とし穴のようにドサリと胸までもぐる。阿弥陀岳を覆うように近づく黒い雲を背に、赤岳や横岳や硫黄岳にぐるりと囲まれて、たったひとりラッセルしていた。快晴であればウキウキしそうだが、天気が下り始めているのでちょっと淋しかった。
美濃戸口16:40分の最終バスは諦めねばならないな、と思いながら進む。タクシーに5千円の出費は痛い。そのうちに、積雪も少なくなり、岩のごろごろした最後の斜面になった。15:00ちょうどに、硫黄岳直下の稜線に出た。稜線の風は強く、体温が奪われないうちに羽毛服を着こみ、テルモスに詰めてきた甘いカフェオレを飲んで一息ついた。強い風に打たれながら硫黄岳を見上げて「今日は硫黄岳割愛だわ」と独り言を言って、早々に下山を開始した。鉱泉への分岐で、単独行の男性とすれ違う。

主稜線からはずれると、風は弱くなった。走れば、もしかするとバスに間に合うかもしれない、という淡い期待を胸に抱いて、速足で歩く。鉱泉の前を通り過ぎ、歩く。ハーネスもアイゼンもそのままで歩いたので、走らずに早歩きにしていたが、美濃戸の手前でバスを目指しても無理だとわかった。そこからは、もう、ゆっくりのペースで下ることにし、17:20美濃戸バス停着。

タクシーで茅野まで行く人を探すと、日帰りで硫黄岳から阿弥陀岳を縦走し御小屋尾根を下ってきたという単独の男性が同乗しても良いと声をかけてくれ助かった。2人で割れば2,500円だ。それにしても、日帰りで硫黄から阿弥陀とは気合いがはいっている。聞けば、前夜は茅野駅でステーションビバークし、5:30にタクシーで入山したのだとか。すばらしい。

茅野駅から下り線で上諏訪へ移動し、高速バスで帰京。登り初めは、なかなか満足だった。

2 comments:

Unknown said...

どうもです。タクシー相乗りさせて頂いたB会のS山です。その節はありがとうございました。こちらも助かりました。
ちなみに、天狗ではなくて阿弥陀ですよ(笑)

すてきなブログですね。
自分は連休でやっと今期のアイスデビューができそうです。といっても日帰りですが。なかなか時間が取れないので、ジョウゴ沢単独とても参考になります。自分もやってみようかしらん。

Masami 恩田真砂美 said...

うわ、B会のS山さん!
コメントありがとうございます♪

うれしいコメントと山名のご指摘まで(涙)!硫黄から天狗で御小屋尾根はないだろう…(爆)。実は現在MJリンクという女性の山サークルで雪の天狗岳の企画を立てておりまして、それが頭にあったのかと思われます(宣伝を兼ねた言い訳)。早速本文修正しとかなくちゃ。

4日の八ヶ岳ではタクシー同乗させていただき、本当に助かりました。暮れゆく空を見上げながら「…5千円かあ」と沈んで歩いていたので、とても有り難かったです。

しかし、日帰り単独で硫黄から阿弥陀はすごいです。結構横岳の稜線とか、雪の状態によって怖そうだし、阿弥陀の登りの雪壁も緊張しそうだし、体力もいるし。充実の山行と想像しております。尊敬。

ぜひ、また山でお会いできればと思います!